信号待ち
あの日、友人と会う約束をしていて、僕は少し浮かれていました。待ち合わせ場所へ向かう途中、ちょうど目の前の信号が点滅しているのが目に入ったんです。なのに、なぜだかその点滅の意味を深く考えず、僕は横断歩道へと足を踏み出してしまいました。 ぼんやりと歩いていると、信号はあっという間に 赤色 に変わってしまいました。左右からは、まるで待ってましたとばかりに車が勢いよく発進し始めます。一瞬にして、僕は渡り切ることも、引き返すこともできない状況に陥ってしまったのです。 立ち尽くした僕のすぐそばには、 中央分離帯 がありました。冷たいガードレールに手を置き、身を縮めるように立ちました。信号待ちをしている人々の視線が、まるで突き刺さるように感じられて、もう、恥ずかしくてたまりませんでした。居たたまれない気持ちがごちゃ混ぜになり、ただひたすら次の信号が変わるのを待つしかありませんでした。そのたった数十秒間が、僕にとっては永遠のように長く感じられました。 そして、ようやく信号が青に変わった瞬間、僕はまるで逃げるように横断歩道を渡り切りました。そのまま、待ち合わせ場所まで一目散に走ったのを覚えています。友人はすでに到着していて、息切れした自分を不思議そうに見ていました。適当な理由をつけてごまかしましたが、走ったせいなのか汗が止まらなかったです。